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こんにちは。
いも次郎です。
今回紹介するのはAES(The AES Corp, AES)です。
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Table of Contents
企業概要
AESは世界有数の電力会社です。
アメリカのみならずメキシコやブラジル・アルゼンチン・チリなどの南米諸国、イギリス・オランダなどのヨーロッパ、インド・ベトナム・ヨルダンなどのアジアでも事業を展開しています。
アメリカの電力事情は複雑で、前回分析したPPLで詳しく解説しています。
AESは火力および再生可能エネルギーに力を入れています。
再生可能エネルギーは風力や太陽光発電など、環境負荷が少ない次世代エネルギーとしてずっと注目され続けています。
しかしいまいち普及が進まないのは「発電量が火力・原子力に比べて少ない」ということと「電力が安定しない」ということが大きいと思います。
発電量については発電効率の向上等の技術革新によりだいぶ解決されてきています。
「電力が安定しない」という問題はつまり晴れた日が多ければ太陽光でたくさん発電できますし、風が吹けば風力でたくさん発電できますが、逆に曇りや雨が多ければ太陽光発電はできませんし、風が吹かなければ風力発電もできないわけです。
つまり天気等のコントロールできない自然状況に左右されますから、再生可能エネルギー自体を安定供給するのは難しいようです。
しかしながら、悪い状況下に備えて良い状況下の時に電力を貯めておくということでこの問題は十分解決できます。
そこで、AESは再生可能エネルギーに欠かせないエネルギー貯蔵の事業を進めるべく、シーメンス社とFluenceという合弁会社を設立しました。
このように再生可能エネルギーとエネルギー貯蔵のパッケージで次世代電力を普及させようとしています。
バイデンが大統領になれば再生可能エネルギーへのシフトが加速するかもしれませんから、今後の成長に期待が持てそうです。
創立は1981年で、合衆国エネルギー省で省エネ・環境問題に取り組んでいたRoger W. SantとDennis Bakkeによって設立されました。
現在のCEOであるAndrés Gluskiはバージニア大学で経済学を専攻し、銀行、通信、IMF、ベネズエラ財務省の財政局長を経て2000年にAESに入社し、2011年からCEOに就任しています。
そんなAESですが、さっそくデータを見ていきましょう。
データ分析
さて、まずは損益計算書を見ていきます。
損益計算書(単位:ドル)
まず2017年に純損失が出ているのが気になりますね。
税金と営業外費用がかなり膨らんで結果として損失が出たようです。
営業外費用で減損処理をしています。
何か事業を処理したようですね。
コロナ禍の影響を見るために四半期データも見てみましょう。
純利益は波が激しいですが、売上高は若干減少し、営業利益は水平飛行を続けていますので、コロナ禍の影響は少なそうです。
売上高推移(ドル)
売上高の推移ですが、やはり減損処理をしてから売上が落ち着きました。
落ち着いてからは水平飛行で、これから整理後の再離陸という状況でしょうか。
営業利益率(%)
営業利益率は整理後に上昇しています。
効率化が功を奏した形です。
これからこの水準を維持しながら売上高を向上していけば成長が期待できそうです。
EPS(ドル/株)
一株当たりの純利益を表すEPSですが、2016年と2017年は廃止事業による損失があったので、マイナスになっています。
この廃止事業が整理されて、今後安定した利益が生み出せるか、今後に期待というところでしょうか。
株主還元
続いては株主還元について見ていきましょう。
まずは一株当たりの配当金(ドル)と配当利回り(%)です。
毎年増配しており、利回りもなかなかいいですね。
利回りは減少傾向ですから、株価は上がっているということでしょうか。
なかなか期待が持てます。
配当性向も少し見てみましょう。
利益が落ち着きませんからかなり波があります。
配当性向からはかなり配当に力を入れていることが分かります。
増配は今後も続きそうな気配です。
またAESはBuyback(自社株買い)をすることでも株主還元しています。
Buyback(自社株買い)とは文字通り自社の株を買い戻すことで、市場に流通している株式数を減少させます。
流通している株数が減少すれば一株当たりの価値が相対的に高まり(つまりEPS等が高まり)、それにより株価が上昇し、キャピタルゲインにより株主に還元するという手法です。
Buybackを含めた利回りは次の通りです。
2016年まではBuybackしていたようですが、そこからは配当のみで株主に還元しています。
まぁ、Buybackしたからと言って株価が順調に上がるわけではありませんから、ここで株価の推移も見てみましょう。
株価
減損処理をしてからは株価がぐんぐん上がっていますし、コロナ禍で一気に落ちましたが、もうコロナ禍前の水準まで戻しています。
貸借対照表(単位:ドル)
次に貸借対照表を見ていきましょう。
流動比率(=流動資産÷流動負債)が100%前後を推移しています。
100%を下回ると1年以内に返済する必要がある借金がすぐに工面できる現金より多いという状況で、一般的にはあまりよくない傾向です。
ただしPPLの時もそうでしたが、電力会社は顧客からすぐに現金を回収できますので、流動比率は100%を下回ってもそれ自体はさほど問題がないようです。
電力会社なので固定資産多めですが、2017年に減損処理をしたことで、固定資産も若干スリムになっています。
自己資本比率(%)
自己資本比率はおおむね15%前後で比較的安定しています。
水準は高くはありませんが、低くもなく、とりあえず推移をチラ見しておけばいいかなぁと思います。
ROE(%)
自社の純資産からどれだけの利益を生んでいるか、つまりいかに効率よく利益を生んでいるかを表すROEですが、こちらは利益が落ち着かないのでかなり上下に振れています。
あんまり参考にならないですね。
今後の推移を注視していく必要がありそうです。
キャッシュフロー(単位:ドル)
最後にキャッシュフローを見ていきましょう。
営業キャッシュフローはしっかり生み出していますし、安定もしています。
流動比率の問題もやはり問題なさそうです。
次世代エネルギーによって成長を目指す企業なので、しっかり投資もしていて、今後の成長に期待が持ています。
悪くないキャッシュフローだと思います。
結論
データから10点満点で下記の4項目を評価します。
利益安定性 (ストレスフリー度) | 3 / 10 点 |
財務健全性 (ストレスフリー度) | 4 / 10 点 |
株主還元性 (わくわく度) | 7 / 10 点 |
成長性 (わくわく度) | 7 / 10 点 |
今回はぼちぼちでした。
利益安定性については、純損を出す年もありましたのであまり評価できませんが、とりあえず不採算事業を整理して、今後には期待はできます。
現時点では低評価の3点を付けましたが、売上が上昇し、しっかり利益を生み出せる体質が出来上がれば評価は上がるでしょう。
財務健全性については、流動比率はそこまで気にしなくてよさそうですし、自己資本比率も高くもなければ低くもないです。
これと言って評価すべきところはありませんので、若干辛口の4点でした。
株主還元性については、配当利回りは高水準ですし、増配もしており、ここ数年は株価も上昇していますので、高評価の7点です。
最後に成長性ですが、再生可能エネルギーという成長分野でビジネスをしていますし、投資にもお金を使っていますので、アメリカ大統領選挙次第では大きく成長する可能性も秘めていますので、高評価の7点を付けました。
今回はぼちぼちでしたが、まだまだ初心者で勉強不足のいも次郎の甘々分析です。
評価を鵜呑みにせず「こういう考え方もあるんだ」ぐらいにとどめておいてくださいね。
なお、本銘柄の売買を推奨するものではありません。
読者の本ブログの情報を基にして行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
売買はあくまでご自身で判断し、自己責任でお願いいたします。
That’s all !!
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