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こんにちは。
いも次郎です。
今回紹介するのはアメリカン・エレクトリック・パワー(American Electric Power Co Inc, AEP)です。
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Table of Contents
企業概要
アメリカン・エレクトリック・パワー(以下AEP)はアメリカの電力会社を傘下に持つ持株会社です。
アメリカの複雑な電力事情についてはPPLコーポレーションの分析で言及していますので、そちらをご参照ください。
11州で電力供給事業を行っており、発電容量はアメリカ最大規模の38,000メガワット以上を、送電においては63,000kmに及ぶネットワークを誇ります。
ちなみに東京電力の発電容量は60,000メガワット以上あります。
発電の内70%以上が火力発電であり、10%程度が原子力発電で残りが再生可能エネルギーやその他エネルギーによる発電です。
今後は再生可能エネルギーの比率を上げるとしており、投資も行っているようです。
バイデンが大統領になればエネルギーシフトへの圧力が一層強くなるでしょうから、この流れは加速的に進むでしょうから、早くから再生可能エネルギーに力を入れていたAESやNextEra Energyなどに押されないかなど、経営への影響はチェックしていく必要がありそうです。
AEPは1906年に創立され、その後幾度かの大規模な買収を経て現在のような全米でも有数の電力会社に成長しました。
CEOのNicholas K Akinsは1982年にAEPに入社し、子会社の社長を経て2011年からAEPのCEOに就任した生え抜きのCEOです。
そんなAEPですが、さっそくデータを見ていきましょう。
データ分析
さて、まずは損益計算書を見ていきます。
損益計算書(単位:ドル)
売上高はPPL・AESより高く、NextEra Energyより低いです。
費用の割合はPPL・NextEra Energyによく似ています。
四半期データ
コロナ禍の影響を見るために四半期データも見てみましょう。
まぁ無傷ですね。
電力はやはり安定しています。
売上高推移(ドル)
売上高の推移ですが、こちらも安定です。
さすが電力会社というところでしょうか。
営業利益率(%)
営業利益率の推移ですが、今まで分析してきた企業に比べて若干低いように感じます(特にここ2年)。
ここ数年は原油価格が高騰していましたから、化石燃料を主力としてたAEPは他の会社に比べてコスト高に見舞われていたようです。
今年は原油価格が下がっていますから、コストの減少が期待できそうです。
EPS(ドル/株)
一株当たりの純利益を表すEPSですが、2016年に減損処理で高額な営業外費用を計上してるおかげでこのような推移になっていますが、おおむね安定していると思います。
さすが電力という感じです。
株主還元
続いては株主還元について見ていきましょう。
まずは一株当たりの配当金(ドル)と配当利回り(%)です。
ここ数年は毎年増配しており、配当利回りも悪くない水準です。
生み出した利益の中からどれだけ配当にお金を回しているかを表す配当性向(%)も少し見てみましょう。
2016年は減損処理による純利益の激減に見舞われましたから、配当性向もかなり高くなっていますが、他の年はおおむね60%前後なので、かなり配当に力を入れていることが分かります。
増配も続いていますし、簡単には減配しなさそうな気配です。
ここで株価の推移も見てみましょう。
株価
ここ数年はずっと上り調子でしたが、コロナ禍で落ち込み、コロナ禍前の水準までは戻していません。
四半期データを見る限りではコロナ禍の影響は限定的ですから、なんとなく下げすぎのような気もします。
PER(割安度合いの指標。低ければ低いほど割安で、アメリカ平均は20%代)は20%代を推移していますので、割安とは評価できなさそうです(高くもないですが)。
貸借対照表(単位:ドル)
次に貸借対照表を見ていきましょう。
流動比率(=流動資産÷流動負債)が100%を切っていてももう驚きませんね。
電力会社はすぐに顧客から現金が回収できますから、流動比率はあまり気にしなくていいようです。
ただ、ここ2年の流動比率の低さは若干気になります。
純資産はたっぷりありますね。
自己資本比率(%)
自己資本比率は若干下がっているものの安定水準ですね。
心配なさそうです。
利益余剰金
利益余剰金の推移ですが、2016年の減損処理の影響でしょうか、一時的に若干減少していますが、その後は増加傾向です。
こちらも問題なさそうなので、純資産のみを見れば財務的にはそこそこ安定と言っていいと思います。
ROE(%)
自社の純資産からどれだけの利益を生んでいるか、つまりいかに効率よく利益を生んでいるかを表すROEですが、アメリカ平均は20%代ですから若干低めですね。
今まで分析してきた電力会社と比較しても若干低めですので、効率性という部分では微妙ですね。
キャッシュフロー(単位:ドル)
最後にキャッシュフローを見ていきましょう。
毎年しっかり営業キャッシュフローを生み出していますが、ここ2年の流動比率の低さを補うほどはキャッシュを生み出していないようです。
エネルギーシフトを見据えて投資はしっかりしているようです。
しばらくはエネルギーシフトへの圧力が強まりそうですから、投資に多額の資金をつぎ込む傾向は今後も続くのではないでしょうか。
結論
データから10点満点で下記の4項目を評価します。
利益安定性 (ストレスフリー度) | 6 / 10 点 |
財務健全性 (ストレスフリー度) | 4 / 10 点 |
株主還元性 (わくわく度) | 6 / 10 点 |
成長性 (わくわく度) | 5 / 10 点 |
今回はそこそこの評価でした。
利益安定性については、売上高・営業利益率共に安定していますし、EPSも比較的安定、コロナ禍耐性もありますが、ROEの低さが気になるので、それでも高評価の6点です。
財務健全性については、純資産は高めですが、ここ2年の流動比率の低さが他の電力会社より際立ちますので若干辛口の4点です。
株主還元性については、配当利回りはやや高めで、株価の推移はコロナ禍までは上り調子だったので悪くはないですし、コロナ禍の影響も限定的なのでコロナ禍で下がった分が戻っていないことを考えると買いなのかもしれませんが、PERを眺めると決して割安ということではなさそうなので、それでも高評価の6点です。
最後に成長性ですが、電力なので今後も安定だとは思いますが、バイデン大統領の誕生(まだ確定はしていませんが)で火力発電からクリーンエネルギーへのシフトが迫られるでしょうから、AEPがこの動きにどこまで順応できるかじっくり見定める必要がありそうですので、中立の5点を付けました。
今回はまずまずでしたが、まだまだ初心者で勉強不足のいも次郎の甘々分析です。
評価を鵜呑みにせず「こういう考え方もあるんだ」ぐらいにとどめておいてくださいね。
なお、本銘柄の売買を推奨するものではありません。
読者の本ブログの情報を基にして行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
売買はあくまでご自身で判断し、自己責任でお願いいたします。
That’s all !!
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