【人工心臓】財務の鬼 アビオメッド(ABMD)

こんにちは。
いも次郎です。

今回紹介するのはアビオメッド(Abiomed Inc, ABMD )です。

   Table of Contents

企業概要

アビオメッドはインペラ(後で説明します)をはじめとした補助人工心臓を製造する医療機器メーカーです。

補助人工心臓とは心不全などで正常に動作しなくなった心臓のポンプ機能を補助する装置です。

同じような装置でペースメーカーがありますが、ペースメーカーは電気刺激により心臓の動きを補助する装置です。

それに対して、補助人工心臓はポンプの機能を一部担うようなポンプ装置です。

これまでこのポンプ装置を体外に取り付ける対外設置型、ポンプを体内に埋め込む植込型がありました。

これらに対してインペラは体内は体内なんですが、カテーテルを使って心臓内にポンプを埋め込むという装置です(これを経皮的補助人工心臓というようです)。

インペラ(羽根車、ジェットエンジン見たなもの?)を回転させ、血液の循環を補助するという仕組みです。

カテーテルを使っているので、装着の際の負担も従来のものに比べて少ないです。

また、補助する機能自体も心臓には多少負荷がかかるようなのですが、経皮的補助人工心臓はこの負担が少ないという特徴があります。

補助人工心臓自体は複数のメーカーで製造されているのですが、経皮的補助人工心臓のうち医療現場で使用が認められているのはこのアビオメッドのインペラのみです。

なお、現在日本でもインペラの使用は認められており、保険適用の対象になっています。

日本法人もあるこのアビオメットですが、創立は1981年です。

競合はいるものの、経皮的補助人工心臓は独占状態のアビオメッドですが、さてデータを見ていきましょう。

データ分析

さて、まずは損益計算書を見ていきます。

損益計算書(単位:ドル)

毎年純利益をしっかり出していますね

医療機器メーカーですので、やはり研究開発費がかなりかかるのでしょうか、営業費用多めですね。

この辺りは至極健全かなぁと思いますし、いい形をしていると思います。

売上高推移(ドル)

売上はかなり伸ばしていますね。

インペラが最初に承認されたのが2008年で、その後新しいインペラが2010年代に承認されてきていますので、新しいインペラが着実に売上高に貢献しているようです。

営業利益率(%)

営業利益率も高水準をキープしています。

しっかり研究開発費にもお金をつぎ込みつつ、ここまで言い利益率をキープしていますので、利益は安定して出せる企業と言っていいと思います。

EPS(ドル/株)

一株当たりの純利益を表すEPSですが、2020年は若干沈んでいますが、こちらも上昇傾向と言えるのではないでしょうか。

主力製品がほぼ独占的な製品ですし、少なくとも一気に利益が出せなくなるということはなさそうだなぁと思います。

株主還元

続いては株主還元について見ていきましょう。

まずは一株当たりの配当金(ドル)と配当利回り(%)を見ていきます、、、っと言いたいところですが、無配株です。

またBuyback(自社株買い)も2015年から2019年にかけては実施していません(2014年以前はやっていたようですが、また直近でも実施している模様です)。

あれだけ利益出してたんですし、株主還元はしっかりしてほしいなぁというのは正直なところです。

株価でしっかり還元しているのかチェックしてみましょう。

一時はイケイケな姿を見せましたが、2018年の後半から谷を描いていますね。

なんとなく落ち着かないチャートになってます。。。

まぁ2015年に比べたら3倍近くになっていますから、結果だけ見ればまぁしっかり上がっているかなぁとも思いますが。

貸借対照表(単位:ドル)

次に貸借対照表を見ていきましょう。

バランスシートは化け物級です。

流動資産で全負債を楽勝で賄えます。

また純資産の額も増えています。

正直こんなバランスシートなんであれば、少々株主還元しても何の問題もない気がしますが。

自己資本比率(%)

いやぁ、圧巻ですね。

ほんとちゃんと還元してくれと、、、

ROE(%)

自己資本からどれだけ利益を生んだか、つまりどれだけ効率的に利益を生んだかを表すROEですが、あれだけ化け物級の自己資本比率をたたき出しているにもかかわらず、ROEも高水準を推移していると思います。

なのに、無配・Buybackなし、株価も山あり谷あり・・・

キャッシュフロー(単位:ドル)

最後にキャッシュフローを見ていきましょう。

営業キャッシュフローを毎年しっかり出していますし、何なら増やしています。

そして、しっかり投資にもお金を回しています。

お金の流れもとても健全です。

現金もたっぷり増やしています。

医療機器メーカーは研究開発がとても大事なので、たっぷり投資をすることはいいことですし、その部分は評価できますが、やっぱりちょっとは株主にもおすそ分けしてほしいですね、、、

結論

データから10点満点で下記の4項目を評価します。

利益安定性 (ストレスフリー度)8 / 10 点
財務健全性 (ストレスフリー度)10 / 10 点
株主還元性 (わくわく度)2 / 10 点
成長性 (わくわく度)6 / 10 点
あくまで主観なので、最終的にはご自身で評価してください

アビオメッドも一部の数字以外はなかなかのデータを見せてくれました。

利益安定性は、売上高もきれいに右肩上がりで、営業利益率も高く、営業キャッシュフローもしっかり出しているということで、まぁ言うことなしですね。

財務健全性も、化け物級ですね。

言うことなしです。

株主還元性は、あれだけの化け物級の財務と安定の利益を生んでいるにもかかわらず、スリリングな株価の推移を見せていますし、そもそも、もっと還元する姿勢を見せてくれと、、、


成長性は、まぁしばらくは経皮的補助人工心臓の独占的地位は揺るがなさそうですし、投資にもお金をかなり割いていますから、ある程度の成長は今後も見込めると思います。

今回は一部を除いて高評価でしたが、まだまだ初心者で勉強不足のいも次郎の甘々分析です。

評価を鵜呑みにせず「こういう考え方もあるんだ」ぐらいにとどめておいてくださいね。


なお、本銘柄の売買を推奨するものではありません。
読者の本ブログの情報を基にして行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
売買はあくまでご自身で判断し、自己責任でお願いいたします。


That’s all !!

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