【ホテル】逆境のヒルトン(HLT)

こんにちは。
いも次郎です。

今回紹介するのはヒルトン(Hilton Worldwide Holdings Inc, HLT)です。

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企業概要

ヒルトンは、知ってますよね、ホテル業界のスーパースターです。

ヒルトンのビジネスについてはみなさんご存じだと思いますので、割愛します。

創立は1919年です。

ホテル業界はコロナ禍でかなり打撃を受けているはずですので、各データも散々な感じになっているかと思いますが、じっくり見ていきましょう。

データ分析

まずは損益計算書を見ていきます。

損益計算書(単位:ドル)

まず、安定して純利益を出しているかを見てみますが、2016年に純損失も出しています。

ただし、次の年に税金が調整されていますので、まぁそこまで気にすることはないかなぁと思いますし、翌年以降純利益はしっかり出しています。

それにしても売上原価がかなり高めですね。

ヒルトンはハイセグメント向けのホテルなので、当然人件費も高いでしょうし、家賃等もすごそうですから、これぐらいの比率にはなりそうというのは直感的にはあってそうです。

ただしです。

これは2019年12月までの数字です。

その後の推移をまとめたグラフを作りました。

火の車ですね。

コロナ禍の影響が続く限り純損失を出し続けそうですね。。。

損益計算書をみるかぎりではなかなか厳しい状況ですが、コロナ禍が落ち着き、世界が元に戻ったら、観光を我慢している人々がこれまでの反動で高級志向の旅行に飛び出ていくと思いますので、僕は高級ホテルは真っ先に回復する可能性があると思います。

ただしこれは「世界が元に戻ったら」が前提であって、世界が様変わりしてしまったら回復までには時間がかかる可能性はあります。(それでもホテル業が全滅することはないと思いますし、僕はヒルトンのようなホテルは回復すると思います。)

売上高推移(ドル)

一応コロナ禍以前の売上高の推移も載せておきます。

今となってはむなしい限りですが、売上は堅調のようでした。

営業利益率(%)

営業利益率もコロナ禍前ですが、このような状況でした。

10%以上をキープしており、また上り調子だったので、うまく稼げるようになっていたのにって感じですね。

EPS(ドル/株)

一株当たりの純利益を表すEPSですが、あんまり安定はしていませんが、まぁ、今となってはねぇという感じです。

株主還元

続いては株主還元について見ていきましょう。

まずは一株当たりの配当金(ドル)と配当利回り(%)です。

直接の配当はあまりよくないですね。

ただヒルトンはBuyback(自社株買い)をすることでも株主還元しています。

Buyback(自社株買い)とは文字通り自社の株を買い戻すことで、市場に流通している株式数を減少させます。

流通している株数が減少すれば一株当たりの価値が相対的に高まり(つまりEPS等が高まり)、それにより株価が上昇し、キャピタルゲインにより株主に還元するという手法です。

Buybackを含めた利回りは次の通りです。

Buybackをした年は利回りが激増していますが、会社的にはBuybackは始めやすく止めやすいという特徴があるので、まぁ当然来年はBuybackはしないでしょうね。

下のグラフは利益のうちどれぐらい配当にお金を割いているかを表す配当性向ですが、かなり株主に還元していることが分かります。

還元してくれる時はたくさん還元してくれるのですが、投資家としてはちょっとこの数字は評価しにくいです。

なお株価の推移は次の通りです。

まぁジェットコースターですね。

底をうった後も伸びはそこまでですし、コロナ禍が今後社会にどう影響を与えるか、様子見といったところなのでしょうか。

貸借対照表(単位:ドル)

次に貸借対照表を見ていきましょう。

おやおやって感じですね。

2019年に債務超過に陥っています。

実はこれはよくあることのようです。

Buybackをして株主還元して、結果的に債務超過に陥るということはよくあり、米国では債務超過してもフリーキャッシュフロー(営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの合計さえしっかり出していたら銀行からの融資ができなるということはあまりないそうです。

ですので、キャッシュフローも含めて評価する必要がありそうです。

ただし、こんな悠長なことを言っていられるのはコロナ前だけです。

今は生きるか死ぬかの環境になってしまったので、コロナ禍前後の四半期決算を見てみると、下のようになります。

やはりコロナ禍の影響はすさまじいですね。

純損失が膨らんでいるので、かなり心配な状況ですね。

自己資本比率(%)

一応自己資本比率を見てみましょう。

Buybackで自己資本比率下げてますから、あんまり参考にはなりませんね。

ROE(%)

純資産からどれだけの利益を生んだかを表すROEですが、こちらもあんまり参考になりませんね。

キャッシュフロー(単位:ドル)

最後にキャッシュフローを見ていきます。

先ほどバランスシートで債務超過をしていたもののキャッシュフロー次第では財務的には問題ないという話をしましたが、営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの合計であるフリーキャッシュフローはここ数年ずっと安定してプラスでした。

ですので、ここ数年は問題なさそうでした。

ただし、これではコロナ禍の影響は分かりませんので、4半期の不利キャッシュフローを見てみると、下の通りになります。

2020年の第2四半期で何とかフリーキャッシュフローを捻出しているという状況で、今のところ持ちこたえているという印象です。

しかしながら、純損失が今後も膨らんでいくと要注意というような状況になるかもしれません。

結論

データから10点満点で下記の4項目を評価します。

利益安定性 (ストレスフリー度)1 / 10 点
財務健全性 (ストレスフリー度)3 / 10 点
株主還元性 (わくわく度)2 / 10 点
成長性 (わくわく度)3 / 10 点
あくまで主観なので、最終的にはご自身で評価してください

ということで、今の状況を踏まえると激辛採点になってしまいました。

利益安定性は、今まではよかったですが、コロナ禍で地に落ちてしまいました。

今後の推移を見守っていく必要がありますが、現時点では1点です(どうしようもないんですけどね)。

財務健全性については、まだ持ちこたえているというような状況なので3点を付けましたが、もちろん急速に悪化する可能性だってあります。

株主還元性については、やっぱりこれだけ成熟した企業ですので、もう少し配当をしっかり出してほしいです。

Buybackも税金が配当ほどかからないなど、いい側面もあるのですが、始めやすく止めやすいという面もあるので、安定して株主に還元しているとは言い難く、評価は低めです。

さらにコロナ禍で今年の利回りは絶望的に減少するでしょうから、2点を付けました。

最後に成長性は、僕は「回復」という面では楽観的なシナリオも考えうるかなぁとも思っていますが、確証を持った予測ではありません。

また、あくまで一時的な回復なので、回復後は大きな成長はそこまで期待できません。

よって辛口の3点としました。

今回は激辛でしたが、ちょっとコロナ禍の今後の影響を測りかねているところもありますし、まだまだ初心者で勉強不足のいも次郎の甘々分析です。

評価を鵜呑みにせず「こういう考え方もあるんだ」ぐらいにとどめておいてくださいね。


なお、本銘柄の売買を推奨するものではありません。
読者の本ブログの情報を基にして行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
売買はあくまでご自身で判断し、自己責任でお願いいたします。


That’s all !!

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