【航空・ULCC】イケイケのスピリット航空(SAVE)

こんにちは。

いも次郎です

娘のいも子でしゅ


今回紹介するのはS&P500構成銘柄ではありませんが、航空業界特集ということで、スピリット航空(Spirit Airlines, SAVE)です。

収益性
(ストレスフリー度)
13 / 20 点
安全性
(ストレスフリー度)
12 / 20 点
効率性
(ストレスフリー&わくわく度)
9 / 20 点
成長性
(わくわく度)
15 / 20 点
株主還元性
(わくわく度)
10 / 20 点
あくまで主観なので、最終的にはご自身で評価してください


こんな人におすすめ!

  • アフターコロナ銘柄を探している人
  • 成長株に投資したい人
  • 短・中期投資家


こんな人におすすめしません!

  • 長期投資家
  • 配当重視の人
  • 堅実性を求める人


   Table of Contents

企業概要

スピリット航空はアメリカの航空会社です。

航空会社はサービスの質でFSC(フルサービスキャリア)とLCC(ローコストキャリア)の2つに分けられ、スピリット航空はLCCです。

さらに、LCCの中でもスピリット航空は低運賃で座席を提供しているので、超格安航空会社(ULCC)に属しています。

前回分析したサウスウエスト航空はLCCではあるものの、近年では機内サービスを拡充したり、FSCとのコードシェアを進めたりと、ややFSCに近づいていると言われています。

これに対抗して、より低価格な運賃を実現する企業が現れました。

それがULCC(Ultra Low Cost Carrier)であり、その代表がスピリット航空です。

スピリット航空は徹底したコスト削減により、超安価な運賃を可能にしています。

その徹底ぶりはサウスウエスト航空の比ではなく、とにかくスピリット航空は乗客を目的地に運ぶためだけに焦点を当てています。

つまり乗客を運ぶことに対してのみ運賃が課せられ、その他の付随サービスはすべて有料となります。

この優良付随サービスは、機内の軽食・ドリンクのサービスはもちろんのこと、座席の指定や手荷物受託、さらに友人カウンターでのチェックインなど、少しでも余計な費用が発生するものはすべて有料となっています。


ちなみに、ここまでコストに徹底しているので、顧客満足度はかなり低いようです。

だからと言って、安全性がないがしろにされているというわけではなく、世界で最も安全な航空会社トップ10にも選ばれたこともあるようね。


また、スピリット航空はサウスウエスト航空と同様に着陸料が高い巨大ハブ空港と各目的地をつなぐハブ&スポーク戦略は取らず、ポイントtoポイント戦略を採用しています。

アメリカ国内では70か所以上に就航しており、また国際線も中南米を中心に20カ所以上に就航しています。


国際線比率が意外と高いので、コロナ禍の影響は長引く可能性がありますね。

そうね、ただでさえコロナ禍の影響はすさまじく、30%近くの従業員が休職しているようね。
ちなみに、政府からは3億ドル以上の援助を受けているわよ。


機材はA320シリーズ一本に絞っており、維持管理費を抑えています。

そんなスピリット航空ですが、さっそくデータを見ていきましょう。


データ分析

収益性・安全性・効率性・成長性・株主還元性の5つを指標を用いて評価していきます。

さて、まずは収益性から見ていきましょう。

収益性

売上高推移

2019年までは急成長を続けていましたが、2020年は他の会社と同様に売上高が半分以下になっています。


2019年まではイケイケだったようですね。

2020年のコロナ禍による減少は他の会社ほどは酷くなかったようね。


粗利率・営業利益率

粗利率と営業利益率の推移ですが、両方とも高水準だったサウスウエスト航空よりも高い水準でした。


徹底したコスト削減により、高い利益率を誇っていたようです。

逆に、人を効率的に運ぶことに特化していたから、人があまり運べなくなったコロナ禍においては利益率の落ち方が著しいわね。


EPS推移

一株当たりの純利益を表すEPSの推移ですが、近年のLCCの好調っぷりを表した、いい推移を見せていました。


サウスウエスト航空とよく似ていますね。

伸びっぷりも落ちっぷりも似たような感じね。


四半期データ

コロナ禍の影響を見るために四半期データも見てみましょう。

売上高は持ち直しているものの、純利益は依然苦しい状況が続いているようです。


この辺りもサウスウエスト航空と同じような動きを見せていますね。

ただ、売上高の戻り方は今のところ他の会社より早いわね。


営業キャッシュフロー推移

営業活動によるお金の出入りを示す営業キャッシュフローの推移ですが、コロナ禍発生までは上昇傾向が続いていました。


この辺りもサウスウエスト航空と同じような推移を見せています。

ただ、2020年の下がりっぷりはサウスウエスト航空以上のようね。


採点

サウスウエストと同じようにイケイケな感じでしたが、コロナ禍耐性に関しては、営業キャッシュフローがサウスウエスト航空より悪化傾向が強く、サウスウエストよりはやや安定性が低いかなぁという印象です。

それでも他の航空会社よりは良い評価の13点です。


財務安全性

次に財務安全性を評価していきます。

流動比率

流動資産÷流動負債で求められ、短期的な安全性指標である流動比率ですが、高ければ高いほど安全性が高いと評価され、一般的に100%を下回っていれば問題ありと評価されます。

なお航空業界の流動比率の平均は70%前後と全体的に低い傾向にあります。

低い傾向にある航空業界においても、かなり高い水準を維持しています。


今まで分析してきた会社は軒並み100%以下でしたから、流動比率はかなり優秀ですね。

2020年は公的資金も注入され、短期安全性はちょっと安心ね。


当座比率

流動資産の中でもより現金化しやすい当座資産を流動負債で割った当座比率ですが、こちらも短期的な安全性を示し、高ければ高いほどよく、一般的に70%以下であれば問題ありと評価されます。

また、当座比率も航空業界は低めの傾向にあり、平均が60%前後とされています

当座比率も流動比率と同様に高水準です。


流動比率と当座比率に大きな差はないので、ひとまず問題なさそうです。


固定比率

固定資産を自己資本で割った固定比率ですが、こちらは長期的な安定性の評価に用いられ、低ければ低いほどよく、100%下回れば安全と評価されます。

航空会社は高くなりがちですが、その中でも比較的低い水準です。

ただし、近年は上昇傾向が続いています。


ぐんぐん伸びているのは気になりますね。どこかで止まればいいのですが、、、。

そうね、どこで止まるか、注意深く見ていく必要があるわね。


自己資本比率

こちらも長期安全性を評価する自己資本比率で、少なくとも30%以上は欲しく、70%以上あれば十分安全であると評価できます。

FSCと比較すると水準は優秀ですが、近年は減少傾向が続いています。


こちらはどこで下げ止まるか要チェックですね。

水準自体はサウスウエスト航空と互角って感じね。


フリーキャッシュフロー推移

営業キャッシュフローと投資キャッシュフローの合計から算出され、資金繰りから安全性を評価するフリーキャッシュフローの推移です。

コロナ禍前もイケイケドンドンで積極投資を行っていた結果、マイナスが続いていました。


LCCは成長産業ですから、投資にどんどんお金を使っていたようですね。

堅実性はやや乏しいけど、成長産業だからそこまで責められることではないと思うけどね。


採点

短期安全性はサウスウエスト航空を凌駕しており、長期安全性もサウスウエスト並みです。

ただ、近年のイケイケなフリーキャッシュフローから、やや堅実性に欠けると思いますので、トータルでサウスウエストと同点の12点です。


効率性

次に効率性を見ていきます。

ROE

自己資本(純資産)に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示すROEですが、アメリカ平均は16%前後だと言われおり、航空業界はやや高めの30%前後が平均のようです。

スピリット航空は航空業界平均よりはやや低い水準のようです。


まぁ自己資本比率が高めなので、ROEが低いのは仕方ないかなぁと思います。

ただ、自己資本比率が近年減少傾向になってるから、少なくともROEは横ばいか少し高くなってほしいところね。


総資本回転率

売上高を総資産で割って算出され、総資産からどれだけ効率的に売上を生み出したかを表す総資本回転率ですが、航空業界の平均がおよそ0.8程度のようです。

スピリット航空の総資本回転率は高水準でしたが、どんどん減少し、近年は平均を下回っています。


2020年はどの会社も大きく減少したので、スピリット航空だけが低い水準に落ちているわけではありませんが、減少傾向なのは気になりますね。

売上高がぐんぐん伸びているからだと思うけど、総資産もその分増やしたいところね。
つまり、少しは堅実さも必要ってことね。


採点

ROEと総資本回転率は水準自体がやや低く、減少傾向にありますので、少し辛口の9点です。


成長性

次に成長性を見ていきます。

売上高増加率

コロナ禍までは10%以上の成長を続けていました。

なお、航空業界全体の5年売上成長率は+8%ですので、航空業界の成長を牽引していたようです。


イケイケの成長企業だったようですね。

ITグロースにも匹敵する成長ね。


営業利益増加率

営業利益成長率はコロナ禍までは売上高ほどの伸びではありませんが、それでも上昇傾向が続いていると言っていいと思います。


営業利益もイケイケで、そのため積極投資を続けたみたいですね。


EPS増加率

EPSもぐんぐん成長しているようです。

なお、5年EPS成長率の航空業界平均が+40%近くありましたが、こちらもスピリット航空が牽引していたようです。


成長性は申し分なかったようですね。

コロナ禍からの復活のスピードもこの成長率ぐらいあればいいわね。


採点

2020年は他社同様沈んでいますが、それまでの成長はめざましく、高評価の15点です。


株主還元性

続いては株主還元について見ていきましょう。

一株当たりの配当金と配当利回り

まずは一株当たりの配当金(ドル)と配当利回り(%)ですが、この10年は無配です。


成長企業ですから、配当を出さずに成長で株主還元するというのは自然だと思います。

むしろ、スピリット航空に投資する人からしたら配当なんて要らないって感じね。


配当性向

生み出した利益の中からどれだけ配当にお金を回しているかを表す配当性向(%)は、無配なので当然ゼロです。


株価

イケイケグロースのように上昇を続けていると思いきや、2015年以降は横ばいもしくは減少傾向です。

なお、コロナ禍での下落からは回復しており、最近では上昇傾向が続いています。


長期的に見れば、株価の推移はイケてないですね。

配当もなくて株価も横ばい減少傾向って、長期的にはおいしさがなかったようね。ただ、ここ最近はぐんぐん伸びているので、短期的にはおいしかったみたいね。


PER

2021年3月22日時点でのPER(EPSで考えた割安度合いの指標。低ければ低いほど割安で、アメリカ平均は25倍台)は、現在赤字の真っ只中なので測定不能です。


PBR(株価純資産倍率)

2021年3月22日時点でのPBR(純資産で考えた割安度合いの指標。低ければ低いほど割安で、航空業界平均は3.11倍、先進国平均は2倍ほど)は1.73倍で、PBRからは割安かなぁという状況です。


ベータ値

株式市場全体との相関関係を示すベータ値ですが、スピリット航空は1.78です。

ベータ値は1だと市場全体と同じ動きをし、1以上だと市場が上昇相場では株価を市場平均より大きく上げ、下落相場だと逆に市場平均より下がる傾向にあると評価されます。

0だと市場には関係なく株価が動き、マイナスだと市場全体とは逆の動きを見せるということになります。

スピリット航空は市場以上に激しく動くようです。


採点

無配で長期的には株価はイケてない推移ですが、短期的にはぐんぐん伸びている状況です。

なので、正直評価は難しく、ひとまず中立の10点としたいと思います。


総評

航空業界にしてはイケイケのグロースっぽいファンダメンタルズですが、株価はついてきていない感じがします。

それならITグロースに投資したくなりますが、短期安全性は比較的高いですので、コロナ禍からの反動を狙ってスピリット航空に投資するのはアリかなぁと思います。


まだまだ初心者で勉強不足のいも次郎の甘々分析です。

評価を鵜呑みにせず「こういう考え方もあるんだ」ぐらいにとどめておいてくださいね。


なお、本銘柄の売買を推奨するものではありません。
読者の本ブログの情報を基にして行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
売買はあくまでご自身で判断し、自己責任でお願いいたします。


That’s all !!


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