スポンサーサイト
こんにちは。
いも次郎です。
今回紹介するのはBank of New York Mellon(BK)です。
スポンサーサイト
Table of Contents
企業概要
Bank of New York Mellon(以下BNYメロン)はアメリカにある銀行です。
預金やローンなどの銀行業務はもちろんのこと、年金の運用や資産管理、ETF管理など、金融機関として幅広いサービスを提供しています。
BNYメロンは世界35カ国で事業を展開しております。
この銀行の主力事業は預金とローンの組み合わせの事業といったいわゆる伝統的な銀行事業ではなく、レポ取引(売り/買い戻しの条件付で行う債券売買)やETFなどの投資信託・証券化商品を扱った業務が主力です。
そしてこれらの商品はシャドーバンキングの普及に一役買っています。
シャドーバンキング
シャドーバンキングとは銀行を介さないお金の貸し借りのシステムのことを言います。
銀行での融資は預金を原資としていますので、預金している人を守るために銀行には財務状況や貸出の内容に厳しい規制が設けられ、預金は保護されています。
ただ、厳しい規制が敷かれていれば当然銀行の融資先にも厳しい条件が課せられ、結果として融資を受けられないという状況に陥ることもあります。
では、銀行から融資を受けられない人はどこからもお金を借りてこれないのかというと、そうではありません。
要するにガチガチに規制された銀行からお金を借りるのではなく、銀行を直接介さないでどこかからお金を借りればいいということになります。
僕はこの話を見たときに「闇金じゃん」と思いましたが、シャドーバンキングはブラックマネーを原資として融資を行うというものではありません。
また預金⇒銀行⇒ローンという流れではなく、その間に投資信託やMMF、証券化商品のような投資資産を介した融資を行うのです。
そうすると銀行の規制の枠から外れて、自由にお金を貸し借りできるというからくりです。
サブプライムローン問題等で世界中で大きな景気後退となった2008年の金融危機後、銀行の規制はより厳しくなり、シャドーバンキングが急速に発展しました。
シャドーバンキングは金融市場の柔軟性が上がるというメリットもある一方で、デメリットも存在します。
シャドーバンキングによる融資は信用度の低い人への融資も可能としていますが、当然金利は高くなります。
それでも借りる方にすれば借りられるだけましだという意見もあるかと思いますが、問題は預金側にあります。
銀行は預金者を守るために厳しい規制が敷かれていますが、シャドーバンキングにはセーフティーネットはありません。
なので、預けていたお金が返ってこないというリスクもあるのです。
そのようなリスクもありますし、そもそも投資信託などの金融商品を介していますから、もし金融危機等が発生して預けていた資産価格が下落するというようなことがあれば普通の銀行より取り付け騒ぎ(解約集中)が起こりやすいという問題があります。
また、シャドーバンキングの対象が信用度が低い融資先となりますので、当然融資先のデフォルトリスクも銀行より高くなります。
このような問題があり、米国ではシャドーバンキングに対する規制も設けられています。
このようなシャドーバンキングですが、先ほど言ったように金融危機以降急速に普及しており、伝統的な銀行業務にも引けを取らない勢力になっています。
歴史
このシャドーバンキングの大きな役割を果たしているBNYメロンですが、2007年にBank of New Yorkとメロン・フィナンシャルが合併してできました。
Bank of New Yorkは1784年に初代合衆国財務長官を務めたアレクサンダー・ハミルトン(10ドル札の人です)によって設立された、アメリカで最古参の銀行の一つです。
ちなみにこの人はニューヨークポスト紙も作ったようです。
一方でメロン・フィナンシャル(かわいい名前ですね笑)は1869年に設立された銀行で、アメリカ5大財閥の一つであるメロン財閥の中核企業です。
このメロン財閥を作ったのはトーマス・メロンという人でアイルランドのジャガイモ農家の子供として生まれ、移住先のアメリカで投資などの事業で財を築き上げました。
ちなみにアメリカ5大財閥はロックフェラー・モルガン・デュポン・カーネギー・メロンだそうです。
現在のCEOであるThomas P. (Todd) Gibbonsは1986年にBank of New Yorkに入行し、合併の1年前にCFOに就任した生え抜きのCEOです。
そんなBNYメロンですが、さっそくデータを見ていきましょう。
データ分析
さて、まずは損益計算書を見ていきます。
損益計算書(単位:ドル)
銀行なのでいつもと形が違いますね。
そして、以前分析したファーストリパブリックバンク(FRC)とも形が違います。
FRCは利息収入が主力である、いわゆる伝統的な銀行と言えますが、BNYメロンは利息外の収入がかなりの割合を占めています。
これは先ほど言った通り、BNYメロンが伝統的な銀行業務ではなく、シャドーバンキングなどの事業が主力であるということをデータでも物語っています。
まぁしかし、FRCと比べてBNYメロンは規模が桁違いですね。
売上高推移(ドル)
売上高の推移ですが、安定飛行ですね。
安心感があります。
利益率(%)
税引き前利益の利益率の推移ですが、上昇傾向が続いています。
日本のメガバンクと比較しても、かなり高い水準です。
EPS(ドル/株)
一株当たりの純利益を表すEPSですが、こちらも上り調子です。
投資家としてはなかなかいい動きを見せています。
株主還元
続いては株主還元について見ていきましょう。
まずは一株当たりの配当金(ドル)と配当利回り(%)です。
毎年増配していますが、利回りはさほど高くはありません。
配当性向も少し見てみましょう。
配当性向もぼちぼちという水準ですので、そこまで配当に力を入れていないようです。
ただBNYメロンはBuyback(自社株買い)をすることでも株主還元しています。
Buyback(自社株買い)とは文字通り自社の株を買い戻すことで、市場に流通している株式数を減少させます。
流通している株数が減少すれば一株当たりの価値が相対的に高まり(つまりEPS等が高まり)、それにより株価が上昇し、キャピタルゲインにより株主に還元するという手法です。
Buybackを含めた利回りは次の通りです。
Buybackを含めると高利回りになりました。
ただし、Buybackしたからと言って株価が順調に上がるわけではありませんから、ここで株価の推移も見てみましょう。
株価
2018年を頂上とするお山を形成していますね。
コロナ禍の影響もかなり受けているようで、いまだに持ち直す気配を見せていません。
正直株主還元はイケてないですね。
貸借対照表(単位:ドル)
次に貸借対照表を見ていきましょう。
銀行なので貸借対照表の形も今までと全く違いますね。
FRCのような伝統的な銀行は資産の内ほとんどがローンになるのですが、BNYメロンは概要で説明した通り、ETFや証券化商品等をたくさん保有しているみたいですね。
現金や有価証券・投資資産が預金に比べて多いですので、万が一取り付け騒ぎが起こっても一応現金がすぐに用意できる、つまり安心できる損益計算書ではあります。
自己資本比率(%)
自己資本比率は高いわけではありませんね。
日本のメガバンクと比べても若干見劣りする水準です。
ROE(%)
自社の純資産からどれだけの利益を生んでいるか、つまりいかに効率よく利益を生んでいるかを表すROEですが、アメリカ平均には届きませんが、ただでさえ銀行のROEは一般的に低いですから、気にする必要はなさそうです。
キャッシュフロー(単位:ドル)
最後にキャッシュフローを見ていきましょう。
2019年の営業キャッシュフローがプラスではあるものの、かなり低いのが気になりますね。
銀行ですから投資と財務は営業キャッシュフローに比べて桁違いに多くなっています。
結論
データから10点満点で下記の4項目を評価します。
利益安定性 (ストレスフリー度) | 7 / 10 点 |
財務健全性 (ストレスフリー度) | 6 / 10 点 |
株主還元性 (わくわく度) | 3 / 10 点 |
成長性 (わくわく度) | 4 / 10 点 |
今回は評価が難しかったです。
利益安定性については、利益率が高いこと、売上高が安定している、EPSも上り調子というところが高評価で7点を付けました。
財務健全性については、流動資産的な資産が預金に比べて多いので、短期的には安定感がありそうですが、自己資本比率が若干低いかなぁと感じましたので、それでも高評価の6点です。
株主還元性については、増配傾向ですが、配当利回りは高いわけではなく、株価の推移もイケてませんので、辛口の3点です。
まぁただ、そこは割安になっていると捉えることもできますが。。。
最後に成長性ですが、なんとなくシャドーバンキングに一役かっているという点に若干怖さを覚えるのと、コロナ禍の影響を強く受けている模様なので、若干辛口の4点でした。
今回はでしたが、まだまだ初心者で勉強不足のいも次郎の甘々分析です。
評価を鵜呑みにせず「こういう考え方もあるんだ」ぐらいにとどめておいてくださいね。
なお、本銘柄の売買を推奨するものではありません。
読者の本ブログの情報を基にして行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
売買はあくまでご自身で判断し、自己責任でお願いいたします。
That’s all !!
関連記事
スポンサーサイト