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こんにちは。
いも次郎です。
今回紹介するのはトランスダイムグループ(TransDigm Group, TDG)です。
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Table of Contents
企業概要
トランスダイムグループは航空機部品や宇宙産業用製品を製造する航空宇宙メーカーです。
製品は航空機用のポンプやバルブ、制御装置、水栓設備、ロッド、計器類、客室のロック機構、センサー、オーディオシステム、照明、シートベルト、貨物室のロック機構と、比較的小さな部品をたくさん作っている会社です。
主力はポンプやバルブ・電子制御装置です。
航空機にポンプとかバルブとかあまりイメージないかもしれませんが、燃料系にももちろんポンプとかバルブが使われますし、旋回・上昇効果するときに動く翼(エルロンとかエレベーターとかラダーと言われるやつです)を動かす動力として油圧が使われますが、油圧の制御にポンプ・バルブが使われます。
翼の動力は航空機の命ですので、普通1機に複数の油圧系統を設けて、1系統のポンプやバルブが壊れてしまっても、残り2系統で翼を動かし続けることができるというようになっています。
つまり、航空機内はポンプとバルブだらけです。
ポンプとバルブの単価はエンジンなど複雑な製品に比べてそこまで高くはないかと思いますが、1機にたくさんのポンプやバルブが使われていますから、1機製造されれば、かなりの額の売り上げがあるんじゃないかなぁと思います。
ちなみに、エンジンにもたくさんのポンプやバルブがくっついています。
Wikipedia引用
民間機向けが主力のようですが、軍事向けの製品もあるようです。
いくつかの製品はトランスダイムの独占状態にあり、航空産業が安定していれば利益が安定しそうです。
創立は1993年と比較的新しい企業で、複数回の買収を経て現在のような従業員18,000人規模の大企業に成長しました。
そんなトランスダイムですが、さっそくデータを見ていきましょう。
データ分析
さて、まずは損益計算書を見ていきます。
損益計算書(単位:ドル)
営業外損益が多めですね。
詳しく見てみると、支払利息がほとんどのようでしたので、結構借金をしているのでしょうか。
それでも毎年純利益をしっかり出しています。
航空系銘柄なので、コロナ禍の影響を見るために四半期のデータも見てみましょう。
しっかり影響を受けていますね。
2019年から貿易戦争の影響を受けて下降気味ですが、コロナ禍はその影響の比ではなかったようです。
売上高推移(ドル)
売上高はぐんぐん増加しています。
しかしながら、コロナ禍の影響が出てくるでしょうから、今後の推移は注視しなければならないでしょう。
営業利益率(%)
営業利益率はかなり高いですね。
やはり独占状態にある製品もありますので、航空機さえ売れればガッポリ儲けられる体質なんでしょう。
EPS(ドル/株)
一株当たりの純利益を表すEPSですが、こちらもまぁ総じてみれば増加傾向と言えそうです。
とはいえ、コロナ禍の影響が今後出てくるでしょうから、EPSも注視していく必要がありそうです。
株主還元
続いては株主還元について見ていきましょう。
まずは一株当たりの配当金(ドル)と配当利回り(%)ですが、トランスダイムは無配銘柄です。
ただトランスダイムはBuyback(自社株買い)をすることでも株主還元しています。
Buyback(自社株買い)とは文字通り自社の株を買い戻すことで、市場に流通している株式数を減少させます。
流通している株数が減少すれば一株当たりの価値が相対的に高まり(つまりEPS等が高まり)、それにより株価が上昇し、キャピタルゲインにより株主に還元するという手法です。
Buybackを含めた利回りは次の通りです。
Buybackを含めても利回りは低めですし、実施したりしなかったりで安定しませんね。
また、Buybackしたからと言って株価が順調に上がるわけではありませんから、ここで株価の推移も見てみましょう。
株価
コロナウィルスが猛威を振るう前は株価が順調に上昇していました。
一時は5年で倍以上になるほどでした。
コロナ禍で急激に株価を下げていますが、航空関連企業にしては株価の回復は早いですね。
貸借対照表(単位:ドル)
次に貸借対照表を見ていきましょう。
そこそこの額の純負債を抱えています。
これが損益計算書の営業外費用に影響しているのでしょうか。
流動資産が流動負債に対してたっぷりありますし、流動資産は増えていますので、今まではあまり心配する必要はなかったのかもしれませんが、コロナ禍の影響で流動負債が増えて流動資産と肉薄してきたらちょっと心配な状況になるかもしれません。
それにしても、固定負債もかなり増えていますね。
いままでイケイケドンドンだったのでしょうが、今後はどうなるでしょうか。
キャッシュフロー(単位:ドル)
最後にキャッシュフローを見ていきましょう。
まず営業キャッシュフローはプラスを維持していますし、そのプラスも増回傾向なのは評価できます。
お金をたくさん借りて投資をガンガンしている姿勢が読み取れますが、これが今後アダとなるのか、それとも功を奏すのか、コロナ禍の影響を見ながら評価していく必要がありそうです。
結論
データから10点満点で下記の4項目を評価します。
利益安定性 (ストレスフリー度) | 6 / 10 点 |
財務健全性 (ストレスフリー度) | 2 / 10 点 |
株主還元性 (わくわく度) | 4 / 10 点 |
成長性 (わくわく度) | 5 / 10 点 |
今回は辛口評価でした。
利益安定性ですが、売上高は増加傾向で、営業利益率がかなり高いので安心感がありましたが、四半期データがちょっとしんどい状況でしたので、もっと高得点を付けたかったのですが、6点を付けました。
財務健全性ですが、流動資産が流動負債をしっかり上回っており、流動資産も増やしていますが、純負債を抱えており、コロナ禍で今後予断を許さない状況になると予想できますので、かなり苦しい2点を付けました。
株主還元性については、無配でBuybackもやったりやらなかったりですが、株価は順調に上昇していますし、コロナ禍の影響による株価の低迷から若干抜け出しています。
しかし無配株でもっと株価が伸びている銘柄は今までもありましたので、若干辛口の4点を付けました。
最後に成長性ですが、売上高・営業キャッシュフローを増やしていますし、投資にかなり力を入れている様子も見られますので、もっと高い点数を付けたかったのですが、コロナ禍の中で航空業界がどう転ぶのか全く読めませんので、中立の5点を付けました。
今回は若干辛口でしたが、まだまだ初心者で勉強不足のいも次郎の甘々分析です。
評価を鵜呑みにせず「こういう考え方もあるんだ」ぐらいにとどめておいてくださいね。
なお、本銘柄の売買を推奨するものではありません。
読者の本ブログの情報を基にして行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
売買はあくまでご自身で判断し、自己責任でお願いいたします。
That’s all !!
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